2022.02.21
理化学研究所のスーパーコンピュータ「富岳」による「経済活動と感染防止対策の両立の実現のための『飛沫シミュレーション』」が実施され、その計算資料が令和4年2月2日発表されました。この計算資料には、感染者が仮に居合わせた場合の、カラオケボックスでのシミュレーションが含まれており、参考になる内容となっています。
感染力の非常に強いオミクロン株に対する感染拡大予防策を講じる上でも有効かと思われます。業種別ガイドライン(カラオケボックス等の歌唱を伴う飲食の場における 新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドライン)と併せて実践することにより、歌唱を伴う飲食の場における安全確保が更に高まると考え、カラオケボックスについての同計算資料を転載します。
以下、スーパーコンピュータ「富岳」による計算資料を参照いただき、カラオケボックスでの感染拡大予防にお役立てください。
提供:神戸大・理研,協力:鹿島建設・ダイキン工業・三菱総研・豊橋技科大・京工繊大・東工大・九大

カラオケボックスにおける
感染リスク評価と対策

9人定員のカラオケボックスを想定

  • ・室内に1名の感染者が滞在するとして在室者の感染確率を求める
  • ・滞在時間は1時間
  • ・全員マスクは装着していない
※現状のカラオケボックスでは、業種別ガイドラインの実践により、「室内利用人数の制限」(通常時定員の半数以下で案内)や家族等の「特定の利用者毎の案内」、利用時の「マスク着用」等の感染対策が講じられています。

全員が1時間大声で歌い続けた場合
(ワーストケース、オミクロン)

  • ・室内の平均感染率:42%、新規感染者数3.3人

一人ずつ座って歌い(7分弱)、
後は黙っている場合(オミクロン)

  • ・室内の平均感染率:12%、新規感染者数:0.96人
室内の感染確率が最も低いケース
室内の感染確率が最も高いケース

在室者を減らす場合
(オミクロン株の場合)

  • ・座り方によってリスクは変化する
  • ・9人(内一人感染者)のパーティを二つ(5人と4人)に分けて、密にならずに着席するよう意識するだけで、新規感染者の発生数を3.3人から0.5~0.8程度まで減らすことができる。
  • ・パーティを三つにした場合(3人)、もっとも効果がある場合には新規感染者数は0.2人まで減らせる。

1人ずつ、順番に排気口の下で歌う場合
(飛沫発生場所を固定する、オミクロン)

1名の感染者と同席した場合に
新たな感染者が発生する期待値(人)

  • ・歌唱者以外はマスクを着用した場合、この値の1/2~1/3になります

まとめ

カラオケボックスでは、パーティを分割して一部屋の在室者を減らし距離を取ることで大きなリスク低減効果が期待できます。また、歌う場所を特定する(感染者の飛沫発生個所を限定する)ことでさらなるリスク低下が期待できます。
「富岳」による計算資料は、想定条件(定員ほか、給排気口の位置や能力等)での飛沫と気流による変化を可視化しています。カラオケボックスの現状利用に則して定員9人の部屋を4人利用した場合、期待値は1.9(最大)から0.5(最小)と、座る場所によって4倍ちかい差があることが判ります。
また、歌唱者以外がマスクを着用した場合は、この期待値が1/2~1/3になることから、コロナ禍にあってカラオケ業界で推奨する「マスク着用歌唱」を実践することにより、更に感染リスクの軽減が図れるものと考えられます。
このことは2020年度、コロナ前から利用者が半減したものの、年間約1億2,000万人に利用いただきながら、歌唱によるクラスタの発生履歴が無いカラオケボックスの感染対策が奏功した証拠とも言えます。業種別ガイドライン(カラオケボックス等の歌唱を伴う飲食の場における新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドライン)を実践する店舗の感染リスクが極めて低いことは明らかです。業種別ガイドライン実践店「(ガイドライン実施宣言ステッカー」掲示店)をご利用いただき、安全・安心な歌唱環境でカラオケをお楽しみください。